木製サッシに後悔するデメリットはあるのか|劣化・メンテナンスサイクル・価格など解説

木製サッシにデメリットはある?  

アルミサッシや樹脂サッシと一味違う風合いが魅力の「木製サッシ」。

住宅全体の質感までこだわりたいという方から注目されています。

しかし、採用事例は数が限られており、実際にどのようなメリット・デメリットがあるのか分かりにくいですよね。

そこで、今回は「木製サッシ」の魅力から、後悔しないために知っておくべきデメリット、他のサッシとの違いまで詳しく解説します。

ご自宅の新築や大規模リノベーションを検討している方は、ぜひ参考にしてください。  

 

コラムのポイント
●木製サッシは断熱性に優れ、ウッドインテリアと馴染む“木”本来の風合いが魅力です。

●雨や紫外線に当たり続けると劣化が早まるため、保護塗装などの定期的なメンテナンスだけではなく、設置場所についての検討も必要です。

●私たち“フォレストブレス”が、1934年創業以来木材会社として培った知識・経験を活かし、自然素材にこだわった“あなただけの住まいづくり”をお手伝いします。

 

 

木製サッシに後悔するデメリットはあるのか

シラス壁

▷建築実例「自然素材のクリニック」

「木製サッシ」と聞くと、昔ながらの木枠で組まれた窓を想像する方もいるかもしれません。

そのため、建て付けや気密性が心配と思われがちです。

しかし、近年の木製サッシは、木の質感をそのまま活かしつつ、断熱性・気密性がしっかり確保されています

そのため、一般的なアルミサッシなどと使い勝手が変わりません。

では、木製サッシの魅力とデメリットを詳しく確認しましょう。  

 

 

木製サッシとは?木製サッシの魅力

「温かみのある質感」

木製サッシを採用する方の多くは、その質感に惹かれる方が多いでしょう。

インテリアを無垢フローリングや板張り天井などでまとめたい場合、アルミなどの金属が目に入ると、どうしても違和感を感じてしまう方も少なくないはずです。

ディテールにまで“木の風合い”でまとめたい方にこそ、木製サッシがおすすめです。

また、窓から見える景色にこだわりたいという場合にも、まるで額縁のように借景を切り取れる点は大きな魅力。

自然豊かなロケーションに家を建てる場合にもぴったりです。

 

 

「断熱性が高い」

木材は、アルミや樹脂などのその他の材質と比べて、熱伝導率(熱の伝わりやすいさ)が低く、断熱性に優れています。

断熱性が高いと認知されている樹脂製サッシの原料よりも、木材の熱伝導率は低く、アルミニウムと比較すると100倍以上の断熱性があるというデータもあるほどです。

つまり、より外気温を遮り、空調された内気温を保つ性能があります。

そのため、窓枠の結露を最小限に抑え、窓周りのシミや汚れ、埃が湿ってカビ・ダニの温床になることを防げる点も重要なポイント。

高断熱性ガラスと組み合わせることで、快適で健康的な室内環境が実現できます。

 

 

「気密性・防音性に優れている」

木製サッシは、構造上、高い気密性をもちます。

気密性は、断熱性と併せて空調効率を高めるための重要ポイント。

気密性に優れているということは、防音性も確保できるということです。

そのため、音楽室などに採用される事例もあります。

 

 

「大開口を実現しやすい」

一般的なアルミサッシや樹脂サッシは、素材の強度上、製作可能寸法に制限があり、アルミ製の場合は高さ・幅2.6m程度、樹脂製は高さ・幅1.8m程度が上限です。

一方、木製サッシですと3mを超える大サイズも製作できるため、よりフレームレスの大開口が実現できます。

そのため、テラスに出るための掃き出し窓や、吹き抜け部分のFIX窓に多く採用されています。

 

 

「寿命が長い・環境負荷が少ない」

アルミサッシ・樹脂サッシの寿命は30〜40年なのに対して、木製サッシはメンテナンス次第で100年以上保つとも言われています。

近年は、家の長寿命化が進んでおり、2世代、3世代と住み継ぐことも想定できるため、木製サッシを採用すれば、窓の取り替え回数を減らせます。

また、アルミや樹脂と比べると、製造過程で排出する二酸化炭素量や、消費する化石燃料量が少ない点も重要なポイントです。

廃棄時も木は再利用しやすいため、エコ建材としても認知されつつあります。

 

 

木製サッシのデメリットは?木製サッシを選んで後悔しない方法

「価格が高め」

流通量が少なく、原料費・加工費がかかるため、一般的なアルミサッシと比べるとサイズや商品によっては、倍近いコストになる可能性もあります。

特に、海外製のものは、昨今の燃料高も加わり、さらに高価になっている点は否めません。

ただし、長寿命である点や高断熱・高気密である点を考慮すると、決して損とは言い切れません。

 

対策ポイント

長期的視点でコストを考慮し、ご予算に併せてアルミサッシ・樹脂サッシとうまく使い分ける方法を検討しましょう。

例えば、「インテリアにこだわりたい」「開放的な大開口を設けたい」リビングには木製サッシを採用し、寝室や浴室・トイレなどにアルミサッシを採用するなどの工夫がおすすめです。

 

 

「ガラスの断熱性が高くなくては意味がない」

木製サッシの断熱性が高い点が間違いありませんが、そこにはめるガラスの性能が高くなければ、効果を生かしきれません。

また、ガラス面から結露が発生すれば、水が垂れて木製枠を痛めてしまうことは避けられず、寿命が短くなるだけではなく、カビが生えて美観も損ねます。

 

対策ポイント

木製サッシには、ガラスにLow-E(低放射)金属膜が貼られ、間に真空層のあるダブルガラス・トリプルガラスがおすすめです。

冬は室内の暖かい熱を逃さず、夏は太陽熱を適度に遮断する性能があるため、木製サッシの断熱性と相まって、窓全体の断熱性を高められます。

 

「定期的なメンテナンスが必須」

アルミサッシは、直射日光や雨によって変質して劣化することがありません。

しかし、木製サッシは日射や雨に当たり続ければ、どうしても表面から傷んでしまいます。

保護塗膜が劣化すれば、湿気によって腐朽のリスクが高まる点も要注意。

明るい木目のサッシですと、雨ジミも気になるでしょう。

 

対策ポイント

サッシの寿命を伸ばすためには、塗装メンテナンスが欠かせません。

再塗装の目安は、最低でも3〜5年ごと、直射日光や雨に当たりやすい場所は、さらにこまめなお手入れが必要です。

定期点検によって劣化を早めに見つけ、それをこまめにメンテナンスすることで、アルミサッシよりも長寿命化することができます。

 

 

「輸入サッシは部品交換が困難」

海外の住宅をイメージして木製サッシを検討する方も多いですが、輸入サッシを採用する場合はメンテナンス面で後悔する可能性があります。

なぜなら、後から純正部品のみを取り寄せるとなると、コストや時間がかかりますし、国産サッシの部品で代用しようとしても、規格が合わない可能性があるからです。

特に、海外に多く国内で採用件数が少ないドレーキップウィンドウ(内開き内倒し窓)や、ダブルハングウィンドウ(上げ下げ窓)、木製格子付き窓は、壊れてもすぐにメンテナンスできないかもしれません。

 

対策ポイント

木製サッシ自体は長寿命ですが、開閉ハンドルや戸車などのパーツは使用頻度によって数年で故障する可能性あります。

そのため、輸入サッシを検討する際には、販売代理店へ「部品取り寄せの方法」や「メーカーメンテナンスの有無」についても確認しましょう。

国内産の木製サッシメーカーも複数社あるため、海外製にこだわらず、そちらも併せて検討することをおすすめします。

詳しくは施工会社へご相談ください。

 

 

「開閉時の重さが気になる」

長年住み続けていると、各種部品が劣化して、開け閉めしづらくなる場合もあります。

また、木製サッシは大開口が実現できる反面、大きいほど重くなるため、頻繁に開け閉めする場所は注意しましょう。

 

対策ポイント

部品の劣化によって開閉が重くなるのが、木製サッシに限った問題ではありません。

開閉時の重さが気になったら、レールや戸車の取り替えを検討しましょう。

それほど年数が経ってない場合は、部品周りにシリコンスプレーを吹き付けるのもおすすめです。

ただし、部分的に変色する恐れもあるため、必ず代理店や施工会社へ確認してください。

 

 

「雨や紫外線が直接当たると劣化が早い」

雨や紫外線が長時間当たる部分は、いくら保護塗装をしていても、やはり劣化は早まってしまいます。

ただし、全く日が当たらず風通しが悪い場所ですと、カビが発生してしまう恐れも。

つまり、木製サッシを取り付けるのに適した場所とそうでない場所があるということです。

 

対策ポイント

木製サッシの取り付けに適した場所は、深い軒下やインナーバルコニー内など、雨や紫外線が当たりにくく風通しがいい場所です。

その他の場所には、アルミサッシや樹脂サッシを検討しましょう。

 

 

防火地域・準防火地域では採用できない可能性も」

防火地域・準防火地域では、耐火性に関する防火認定を受けたサッシしか採用できません。

そのため、これらの地域に該当する場合は、材料の選択肢が制限されます。

 

対策ポイント

木製サッシですと、“燃えやすい”と思われがちですが、国土交通大臣より防火認定を受けた木製サッシは複数あります。

そのため、防火地域・準防火地域だからといって、木製サッシを諦める必要はありません。

ただし、輸入サッシは認定試験を受けていないものが大半なので、まずは国産サッシから検討することをおすすめします。

 

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木製サッシと他のサッシの違い

リビング階段

▷建築実例「光や風を感じる家」

最も一般的に住宅へ用いられるサッシは「アルミサッシ」ですが、その他に、熱伝導率の低い樹脂から作られた「樹脂製サッシ」、特殊な開口部の場合に用いられる「ステンレスサッシ」、そして今回取り上げる「木製サッシ」があります。

それぞれ特徴が異なりますので、詳しく見てみましょう。

 

木製サッシ以外の種類と特徴

「アルミ製サッシ」

住宅へ主に採用されているサッシです。

アルミニウムは軽くて加工しやすい特性を持ち、費用も比較的安いため、アルミ製サッシも低コストで販売されています。

ただし、熱伝導率が高いため、熱しやすく冷めやすく、断熱性は低く結露が起きやすい点がデメリットです。

 

 

「樹脂製サッシ」

熱を伝えにくい塩化ビニル系樹脂から作られているため、断熱サッシとして広く認知されています。

雨にあたっても腐食せず、アルミ同様に加工が容易な上に、着色しやすいためカラーレパートリーが豊富で、木目の表現もできます。

ただし、紫外線にあたるとしてしまう点がデメリットです。

 

 

「アルミ樹脂複合サッシ」

アルミの耐候性と樹脂・木の断熱性の両方を取り入れたサッシで、屋外側がアルミ製、室内側が樹脂製もしくは木製になっています。

“いいとこ取り”であはあるものの、樹脂製サッシ・木製サッシよりも断熱性は劣ります。

 

 

「ステンレスサッシ」

鏡面仕上げ・ヘアライン仕上げなどの仕上げレパートリーがあり、同じ金属製であるアルミサッシと比べると高級感があります。

強度が高く耐久性があるため、高い場所や大開口でガラスの重量が大きくなる場合に用いられます。

また、ステンレス自体も重いため、サッシを取り付ける部分の壁下地補強が必要で、手動で開け閉めするのも簡単ではありません。

そのため、主にビル・マンション用、住宅の場合は開け閉めしないFIX窓に用いられます。

 

 

木製サッシ・他のサッシの比較一覧表 

質感 デザイン コスト 断熱性 防露性 気密性 防音性 メンテナンス性
木製サッシ ⚪︎
アルミ製サッシ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
樹脂製サッシ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
アルミ複合サッシ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
ステンレス製サッシ ⚪︎

 

ポイント

木製サッシは、価格面のデメリットを除けば、比較的バランスの良い性能を持ち合わせている点がポイント。

少々メンテナンスの手間が必要ですが、愛着を持って適切なお手入れをすれば、長期間性能を維持でき、むしろ取り替えコストがかからず“お得”になるとも考えられます。

また、他の家と異なる“木の温もり”こそ、高いコストをかけても取り入れる価値があると言えるでしょう。

 

 

 

 

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木製サッシの施工事例

クリニックの外観

▷建築実例「自然素材のクリニック」

私たち“フォレストブレス”では、標準仕様を「アルミサッシ+断熱複層ガラス」としていますが、窓にまで“木”にこだわった事例も手がけています。

こちらは、自然素材に徹底的にこだわったクリニック。

外壁には焼杉の板張りを採用し、室内床はカラマツの無垢フローリング材を使用しています。

 

木目がおしゃれな外壁

▷建築実例「自然素材のクリニック」

天井・壁のベースは漆喰で、アクセントに杉材の梁を表しにしたり、壁の一部を杉板張りにしています。

これだけ木質的な内装にすると、やはりアルミサッシではどうしても浮いてしまいますよね。

そこで、片引きの大きな開口が特徴的な「木製サッシ」を採用。

2m近くある軒下に設置しているため、紫外線や雨の影響を最小限に抑えられます。

開放的で統一感のある室内空間を実現しました。

 

木製サッシで窓までこだわった内観

▷建築実例「自然素材のクリニック」

明るい木目の木製サッシを採用して室内側は統一感あるデザインに、屋外側は板の濃淡によるアクセントがあるデザインに仕上がっています。

スタッフルームや給湯室、その他の小さい窓はアルミサッシを採用し、ご予算内でメインとなるエントランスへ木製サッシを採用した点もポイントです。

このように、場所ごとに素材の異なるサッシを取り入れることで、メンテナンス面・コスト面でのデメリットを解消することができます。

 

ポイント

フォレストブレスは、「渡辺木材」として1934年に創業以来、自然素材にこだわったオーガニックな家づくりをコンセプトとしてきました。

化学物質を含む接着剤を使用した合板・集成材、防蟻防腐剤注入土台、グラスウール、ビニールクロス、その他廃棄時有害なものは使わないことが私たちのこだわりです。

木を知り尽くしているプロとして、木製サッシの設置に適したプランをご提案いたします。

     

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    まとめ

    木製サッシは、一般的なアルミサッシや樹脂サッシよりも断熱性に優れ、独特な温もりある風合いが特徴です。

    ただし、初期コストは高く、こまめなメンテナンスを徹底しなくてはいけません。

    ポイントは、天敵である雨や紫外線をどのように最小限に抑えるのかという点です。

    適材適所にサッシの素材を使い分け、メンテナンスしやすい工夫を施す必要があります。

    木製サッシは、お手入れさえきちんとすれば、何十年も使い続けられるため、愛着のあるマイホームへぜひ取り入れてみてください。

    「木製サッシが気になるが、メンテナンスできるか不安」「予算内で木製サッシを選ぶことができるか分からない」そんな方は、施工実績のある会社へ相談することが重要なポイント。

    私たち“フォレストブレス”は、創業以来培った知識と経験を活かして、快適で健康的な暮らしが実現できる住まいをご提案しております。

    「小さな家でコトを愉しむくらし」をコンセプトに、自然素材にこだわった事例を数多く手掛けていますので、ぜひ私たちの“暮らしの提案”をご覧ください。  

     

     

    「自然素材の家」を建てるなら茨城県石岡市のフォレストブレスへ

    ▷建築実例「偕老の家」

    フォレストブレスは、「自然素材」と「あつらえ設計」にこだわった高品質な住宅を数多く手掛けています。

    “本当に快適な家に住んでほしい”という想いから、家づくりに以下のものを使わないことをお約束します。  

     

    • ・化学物質を含む接着剤を使用した合板、集成材
    • ・防蟻防腐剤注入土台・グラスウール
    • ・ビニールクロス・廃棄時有害なもの

     

    お客様の住まい方や個性、価値観に寄り添い、“あなただけの住まい”をご提案します。

    「呼吸が深くなる家」それこそ私たちが追求する快適なマイホーム。

    オーガニックな暮らしを実現したい方は、ぜひご相談を。

    定期的に見学会などのイベントも開催しておりますので、ぜひ私たちの家づくりをご体感ください。

     

      家づくりのご相談
    イベント・見学会のご案内
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    著者情報

    渡辺 勉

    渡辺 勉渡辺⽊材株式会社(フォレストブレス)代表取締役

    ⽊材会社として⻑年⽊に携わってきた経験を⽣かし、⾃然素材の家づくりを⾏っています。
    アレルギーやアトピー、喘息の原因となる化学物質を含む接着剤を使用した合板・集成材、防蟻防腐剤注入土台、グラスウール、ビニールクロス、そして廃棄時有害なものは使いません。
    ⽊の特性を⾒極め、適材適所に活⽤できるノウハウを持ったわたしたちと本物の⽊の家をつくりませんか。

    保有資格
    • 二級建築士

    • 茨城県木造住宅耐震診断士

    • 茨城県住宅耐震・リフォームアドバイザー

    • 福祉住環境コーディネーター

    • 一級エクステリアプランナー

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