にかわ(膠)の接着剤とは|作り方やメリット、自然素材を使った接着剤の注意点を解説
にかわ(膠)は接着剤の一種で、身体に優しい家を建てたい方にはぜひ取り入れていただきたい自然素材です。
そこで今回は、自然素材の家づくりにこだわる"フォレストブレス"が「にかわ」について解説します。
にかわのメリットや作り方、自然素材の接着剤を採用する際の注意点もご紹介しますので、ぜひ家づくりにお役立てください。
・にかわ(膠)とは、動物の骨や皮を煮出して精製する接着剤のことです。
・にかわは化学物質を使用していないため身体や環境に優しく、木材との相性が良い自然素材であるなどの特徴があります。
・施工時には加熱や温度管理などが必要になる繊細な接着剤のため、実績が豊富な住宅会社への依頼がポイントです。
Contents
「にかわ(膠)」とは
にかわ(膠)とは、動物の骨や皮からつくられる接着剤のことです。
主に牛や馬の皮・骨・腱などを煮出して精製します。
動物性由来の接着剤のため、化学物質が一切含まれていない点が大きな特徴です。
住宅や家具などの木材用の接着剤として使われる以外にも、日本画の顔料を定着させたり工芸品を修復したりと幅広い分野に使われています。
にかわ(膠)を住宅に採用するメリット
<施工事例>県央の家
にかわを住宅に採用するメリットをご紹介します。
シックハウス対策になる
にかわは、原料だけでなく製造工程においても化学物質を一切使わない自然素材です。
ホルムアルデヒドなどの有害物質を含まない動物性の接着剤のため、シックハウス症候群を引き起こす原因になりません。
アレルギーがある方でも安心して使用でき、暮らす人はもちろんのこと、施工する人にとってもやさしい素材です。
>関連コラム:シックハウス症候群が新築で多いといわれるのはなぜか|防ぐ方法やいつまで続くかも解説
動物性由来で環境に優しい
動物性由来のにかわは環境に優しい点もメリットとして挙げられます。
にかわは廃棄すると微生物により分解されて土に戻るサステナブルな材料です。
また、焼却しても有害物質が発生することはありません。
にかわを住宅の接着剤として選ぶことは、ご自身の健康だけでなく環境への配慮にもつながります。
>関連コラム:“サスティナブル住宅”とは?環境に優しい住まいの条件について解説
木材との相性が良い
天然素材のにかわは木材との相性が良い点もメリットです。
にかわは、木のわずかな伸縮にも柔軟に対応できるため、長く安定した接着力を保ちます。
また、木が湿気を吸ったり吐いたりする呼吸にもうまく適応できるため、快適な室内環境をつくりたい方にもおすすめの接着剤です。
施工性が高い
にかわは施工性が高い点も特徴です。
粘り気のある素材なので壁などに施工しても垂れにくく、均一に塗り広げることができます。
また、乾燥すると接着性が高まるためフローリングなどの施工にもぴったりです。
"フォレストブレス”では、自然素材の接着剤を採用した住まいを手掛けております。
まずは資料請求を通じて、私たちの住まいづくりへのこだわりをご覧いただければ幸いです。
にかわ(膠)の接着剤の作り方
にかわは動物の皮・骨・腱などを使って作ります。
一般的なにかわの精製方法の流れを確認しましょう。
- ・皮・骨・腱についた汚れや油を落とす
- ・原料と水を低温で煮る
- ・ろ過して異物などを取り除く
- ・冷却してゼラチン質にする
- ・薄く切って乾燥させて固める
にかわを住宅の接着剤として使用する際は、湯せんして柔らかくしてから塗り広げます。
冷えると再度固まってしまうため、にかわの施工には温度調整が必須です。
化学物質は一切使わず、基本的には牛や馬の皮・骨・腱などと水のみで精製されます。
にかわ(膠)以外に自然素材の接着剤はあるのか
にかわ以外にも自然素材の接着剤はあります。
住宅においては「米糊(こめのり)」が採用されるケースが多いです。
米糊とは「炊いたご飯」を練って作る接着剤のことで、化学系の接着剤が普及する以前は、建築や内装仕上げの現場などで一般的に使われていました。
木工用ボンドと同程度の接着力があり、乾燥後は適度な強度と安定性を発揮します。
米糊のメリット
米糊には次のようなメリットがあります。
- ・自然素材で有害物質を一切含まない
- ・木材や和紙など天然素材との相性が良い
にかわと同様に、自然素材である米糊は有害物質を含まない接着剤のため、シックハウス症候群やアレルギーに対する不安がある方でも安心です。
炊いた米は煮込むと植物繊維のセルロースに変化するため、自然素材との相性が良く、木材の収縮などにも対応できます。
米糊とにかわの違い
米糊とにかわはどちらも化学物質を使用しない接着剤ですが、次のような違いがあります。
米糊 | にかわ | |
---|---|---|
分類 | 植物性接着剤 | 動物性接着剤 |
接着力 | 木工用ボンドと同程度 | 米糊よりも強い |
耐水性 | 非耐水性 | 水に強くはない (乾燥後はある程度の耐水性を確保できる) |
再利用 | 一度接着すると再利用不可 | 加熱すれば再接着可能 |
施工性 | 扱いやすい | 加熱や温度管理が必要 |
におい | ほぼ無臭 | 施工時は動物性のにおいあり (乾燥後はほとんど残らない) |
フローリングなどの木材同士の接着はにかわ、障子など紙製品には米糊など箇所ごとに使い分ける方法もあります。
それぞれメリット・デメリットがありますので、違いを理解して採用を検討しましょう。
"フォレストブレス”ではご家族が思い描く理想の住まいや暮らしをお伺いしたうえで、適切な接着剤のご提案をしております。
自然素材の接着剤を使って家づくりをしたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
自然素材の接着剤を採用する際の注意点
自然素材の接着剤を住宅に採用する際の注意点をご紹介します。
化学系の接着剤と比べて費用がかかる
にかわや米糊などの自然素材の接着剤は精製に時間と手間がかかり、化学系の接着剤と比べて流通量も多くありません。
そのため、費用が割高になりやすい点はあらかじめ注意が必要です。
特に、通常はにかわなどの接着剤を扱わない住宅会社にオーダーすると、仕入れ値が高くなる可能性があります。
自然素材を使った家づくりをしている住宅会社に相談し、あらかじめ費用を把握しておくことがポイントです。
施工に時間がかかるケースも
にかわや米糊などの接着剤は、化学系の接着剤と比べて乾燥に時間がかかります。
また、乾燥中はクランプなどでしっかりと固定することが求められ、作業の手間も増える場合があります。
自然素材の接着剤を使う場合は、施工期間が長くなる可能性があることを理解し、ゆとりを持ったスケジュールを組むことが大切です。
扱っている住宅会社が限られる
現在、住宅建築においては化学系の接着剤が主流です。
自然素材の接着剤を扱っていない住宅会社は多く、施工できる職人も限られます。
「自然素材の家づくり」を謳っている会社でも、接着剤は化学系を使用しているケースもありますので、細かな仕様まで確認しておくと安心です。
>関連コラム:自然素材の家を後悔しないためのポイントをプロが解説
施工技術によって仕上がりに差が出る
自然素材の接着剤は化学系と比べて扱いが難しいため、施工技術によって品質に差が出る点も注意が必要です。
特に、加熱や温度管理が必要なにかわは、職人の知識と経験によって仕上がりが大きく異なります。
普段から自然素材の接着剤を扱っている住宅会社に相談し、実績豊富な職人に施工を依頼することが大切です。
"フォレストブレス”では自然素材の接着剤を使用した住宅の施工実績が豊富です。
自然素材の家で暮らしているお客さまの声を以下よりご覧ください。
まとめ
化学物質を含まないにかわなどの自然素材の接着剤は、健康や環境に配慮した家づくりをしたい方におすすめします。
ただし、自然素材の接着剤を扱う際には専門的な知識や技術が求められるため、依頼先を慎重に検討することが重要です。
自然素材を使った家の施工実績が豊富で、素材の特性を理解している住宅会社に相談しましょう。
私たち"フォレストブレス”は、1934年に製材所として創業して以来培った知識と経験を活かして、快適で健康的な暮らしが実現できる住まいをご提案しております。
住宅のプロとして、接着剤まで自然素材にこだわった住宅を数多く手掛けていますので、お気軽にご相談ください。