ポストハーベスト農薬とは|基礎知識や危険性、農薬の残留が気になる際の対処法を解説

ポストハーベスト農薬とは

ポストハーベスト農薬は「post=後」・「harvest=収穫」という意味の言葉で、収穫後に農産物へ散布される農薬のことを指します。

主に農産物の長期保存や輸送中の品質維持を目的に使用される農薬ですが、安全性に不安を感じるという声も少なくありません。

そこで今回は、ポストハーベスト農薬の基礎知識や危険性などについて解説します。

農薬の残留が気になる際の対処法もご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。

 

このコラムのポイント

・ポストハーベスト農薬は、収穫後に散布する農薬のことで、海外からの輸出農産物に使用されるケースが多いです。

・日本国内では原則禁止されていますが、輸入する農作物には基準値を満たしたポストハーベスト農薬が使われているケースもあります。

・ポストハーベスト農薬が使用されていても基準を満たしていれば安全と言われていますが、気になる方はオーガニックや無農薬の食品を選ぶなど、ご自身の価値観に合った選択をすることが大切です。

ポストハーベスト農薬とは

ポストハーベスト農薬とは

ポストハーベスト農薬とは、農産物の収穫後に散布される農薬のことです。

長距離輸送を前提とする海外からの輸出農産物に使われているケースが多く、主に「殺菌剤」や「防カビ剤」が散布されます。

農産物の生産中に農薬を使い、害虫や病気から守る方法はご存じの方も多いと思いますが、収穫後にも農薬が使われていることは意外と知られていないのが実情です。

 

なぜ収穫後に農薬を散布するのか

ポストハーベストのバナナ

では収穫後に農薬を散布する理由を解説します。

 

①カビの発生を防ぐため

輸出農産物は、収穫から消費者の元へ届くまでに時間がかかります。

その過程で、農産物が傷んだり腐ったりしてカビが生えると、商品として販売できません。

そこで、ポストハーベスト農薬として「防カビ剤」や「防腐材」などを使うことで品質劣化を防ぎ、安全な状態の食品を輸送できます。

 

②害虫による被害を防ぐため

農産物に害虫がいると、輸送中に中身を食べられたり傷つけられたりして、品質が大きく損なわれてしまう恐れがあります。

害虫による被害を防ぐために「殺虫剤」などのポストハーベスト農薬を使用するケースも多いです。

ポストハーベスト農薬によって農産物の状態を維持できれば、食品ロスを削減にもつながります。

 

③長期保存するため

長距離輸送の輸出では、農産物の長期的な保存が求められます。

ポストハーベスト農薬を使うことで農産物の成熟や劣化を遅らせ、鮮度を長く保つことが可能です。

結果として、遠方への輸送や長期間の保管が可能になり、消費者に新鮮な農産物を届けることができます。

 

ポストハーベスト農薬の危険性

ポストハーベスト農薬の危険性

農薬が散布されていると聞くと「本当に安全なのか」と不安に思う方も多いでしょう。

ポストハーベスト農薬の危険性についてご紹介します。

 

日本ではポストハーベスト農薬の使用は「原則禁止」

日本国内の農産物に対しては、ポストハーベスト農薬の使用は「原則禁止」されています。

しかし、基準に適合したポストハーベスト農薬は使用が認められるため、完全に使用できないわけではありません。

例えば、かんきつ類やバナナなどの果物に対しては、使用した旨を表示すれば「防かび剤」の使用が認められています。

ポストハーベストは添加物に該当するため、添加物として指定を受けたものしか使用することができません。

食品衛生法において、食品添加物は、「食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物」と規定されているため、収穫後の農作物に防かびを目的として使用される、いわゆるポストハーベストは、食品添加物に該当します。食品衛生法第10条の規定により、指定されていない添加物(ポストハーベスト農薬を含む)を使用する食品 について輸入、使用、販売等が禁止されます。

参考:食品中の残留農薬等|よくある質問 | 消費者庁

 

栽培中に使用した農薬や収穫後に使用したポストハーベスト農薬であっても、残留濃度が基準値以下であれば日本では問題性はないと考えられています。

 

輸入農産物にはポストハーベスト農薬が使用されているケースもある

それぞれの国で農薬に対する基準が設けられており、輸入農産物にはポストハーベスト農薬が使用されているケースも少なくありません。

しかし、日本国内に輸入される農産物に関しては、国内基準で検査した上で消費者の元へ届くようになっているため、一定の安全性は確保されています。

食品安全委員会による科学的なリスク評価の結果を踏まえ、薬事・食品衛生審議会での審議を経て食品添加物として指定され、基準に適合している防かび剤であれば、安全性に問題はなく、国内で使用することが可能です。
また、海外で使用されている場合でも、我が国の基準に適合しない防かび剤が使用されている食品の輸入や販売は認められませんので、食品の安全性は確保されています。

参考:食品の安全に関するQ&A |厚生労働省

 

とはいえ、たとえ基準値を満たした食品であっても、農薬が使用されていることには変わりありません。

 

消費者自身が自分の基準で判断することが大切

最終的にその食品を選ぶかどうかは、消費者一人ひとりの考え方や価値観によります。

日本の食品衛生法および農薬取締法では、化学物質の表示方法が次のように区別されています。

  • ・収穫前に使った化学物質:農薬
  • ・収穫後に使う化学物質:食品添加物

そのため、ポストハーベスト農薬は「食品添加物」に分類されるのですが、実際に使われているのは「防かび剤」などの薬剤です。

しっかり洗えば問題ないと捉える方もいれば、農産物の内部に農薬が浸透しているのではと不安に感じる方もいますよね。

無農薬やオーガニック食品など、さまざまな農作物が流通している今だからこそ、ご自身の価値観を明確にした上で食品を選ぶことが大切です。

 

食品の農薬が気になる際の対処法

食品の農薬対策

食品の農薬が気になる際の対処法をご紹介します。

 

オーガニックや無農薬の食品を選ぶ

食品の農薬が気になるなら、オーガニックや無農薬の食品を選ぶことをおすすめします。

  • ・オーガニック食品:指定外の農薬・化学肥料・遺伝子組み換え技術などが使われていない食品
  • ・無農薬食品:農薬を使用していない食品

これらの食品は身体に有害とされている農薬や化学物質がほぼ含まれていないため、安全性の高い食品と言われています。

 

また「有機JASマーク」の表示があるかといった点もポイントです。

  • ・有機JASマーク:化学合成された農薬や肥料を使わず、自然の力を活かした栽培方法であることが第三者機関に認められている食品

これらの表示を細かく確認し、ご自身の中で信頼度の高い農産物を選びましょう。

>関連コラム:【オーガニック食品】メリット・デメリットや無農薬との違いなど分かりやすく解説

 

国産の農産物を選ぶ

安全性の高い食品を選びたいなら国産かどうかをチェックすることも大切です。

日本国内では、原則としてポストハーベスト農薬の使用が禁止されているため、厳格な基準が設けられており、国産は輸入品と比べて安全性が高いと捉えることができます。

国産の農産物は、海外から輸入した食品と比べて収穫されてから店頭に並ぶまでの期間が短いため、鮮度が高い点もメリットです。

生産者情報などが記載されている国産の農産物も多く、どの地域で誰が育てたのかがわかることで、より安心して購入しやすくなります。

 

よく洗う・皮をむく・加熱するなどのご家庭で工夫する

ご家庭内での工夫によっても、食品の安全性を高めることが可能です。

例えば「よく洗う・皮をむく」などの作業をすることで、表面に付着した農薬を効果的に除去できます。

中には加熱することで残留量を減らせる農薬もありますが、全ての薬剤が分解できるわけではないため、洗う作業はしっかりと行いましょう。

様々な工夫を取り入れ、ご自身の中で安心できる食品を楽しめる環境を整えていくことが大切です。

 

「口にするもの」だけでなく「触れるもの」も安全性に配慮して選ぼう

自然素材の家

<施工事例>焼杉の外壁と薪ストーブの家

今回は農作物に使われることがあるポストハーベスト農薬についてご紹介しました。

しかし、気を付けるべきものは「口にする食品」だけではありません。

住居・衣類・スキンケア用品など「肌に触れるもの」にも様々な化学物質が使われています。

 

特に、長い時間を過ごす「住居」からは化学物質の影響を受けやすいです。

建材や家具、内装材に含まれる化学物質が空気中に広がることもあり、健康への配慮が欠かせません。

化学物質を使わず自然素材で建てた家は、安心して暮らせる環境となり、ご家族の健康を守る大きな一歩になります。

>関連コラム:自然素材の家でこだわりの注文住宅を|メリット・デメリットや実例を紹介

 

ポイント

"フォレストブレス”では、家づくりに以下のものを使わないことをお約束しております。

  • ・化学物質を含む接着剤を使用した合板、集成材
  • ・防蟻防腐剤注入土台・グラスウール
  • ・ビニールクロス・廃棄時有害なもの

マイホームに住むご家族はもちろんのこと、建築する職人さんそして自然環境に優しい住まいをご提案いたします。

喘息やアレルギーなどにお悩みの方もぜひお気軽にご相談ください。

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まずは資料請求を通じて、私たちの住まいづくりへのこだわりをご覧いただければ幸いです。

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まとめ

収穫した農産物に散布する「ポストハーベスト農薬」は、長期間の保存が求められる海外からの輸出農産物などに使われることが多いです。

日本では原則禁止されていますが、基準値を満たしている場合はポストハーベスト農薬が使われていても流通が認められています。

食品だけでなく、住居や衣服など化学物質を含むものはたくさんあるため、ご自身の価値観を大切にしながら「口にするもの」や「触れるもの」を選んでいくことが重要です。

 

私たち"フォレストブレス”は、1934年に製材所として創業して以来培った知識と経験を活かして、快適で健康的な暮らしが実現できる住まいをご提案しております。

木材のプロとして自然素材にこだわり、化学物質を使わない家づくりを手掛けていますので、お気軽にご相談ください。

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著者情報

渡辺 勉

渡辺 勉渡辺⽊材株式会社(フォレストブレス)代表取締役

⽊材会社として⻑年⽊に携わってきた経験を⽣かし、⾃然素材の家づくりを⾏っています。
アレルギーやアトピー、喘息の原因となる化学物質を含む接着剤を使用した合板・集成材、防蟻防腐剤注入土台、グラスウール、ビニールクロス、そして廃棄時有害なものは使いません。
⽊の特性を⾒極め、適材適所に活⽤できるノウハウを持ったわたしたちと本物の⽊の家をつくりませんか。

保有資格
  • 二級建築士

  • 茨城県木造住宅耐震診断士

  • 茨城県住宅耐震・リフォームアドバイザー

  • 福祉住環境コーディネーター

  • 一級エクステリアプランナー

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