セルロースファイバーの断熱材はゴキブリやシロアリに効果的|ホウ酸の防虫性について解説

セルロースファイバーは断熱材の中でも珍しく、ゴキブリやシロアリなどに対する防虫効果をもつ素材です。
そこで今回は、セルロースファイバーに含まれるホウ酸の防虫性について解説します。
ホウ酸がもたらす効果や安全性、セルロースファイバーのメリット・デメリットもお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
・セルロースファイバーは古紙を原料とし、製造過程でホウ酸による薬剤処理が行われている断熱材です。
・ホウ酸はゴキブリやシロアリなどの害虫に効果的なため、セルロースファイバーを住宅に採用することで、防虫効果が期待できます。
・セルロースファイバーは施工の質によって気密性や経年による沈下に影響が出やすいため、施工実績が豊富で技術に信頼のおける住宅会社に相談しましょう。
Contents
セルロースファイバーの断熱材とは

セルロースファイバーとは、古紙を原料とした自然素材の断熱材のことを指します。
木質繊維でつくられた新聞紙や段ボールをリサイクルしてつくる、自然環境にやさしい断熱材です。
古紙を細かくして綿のような状態にし、薬剤加工をしてから袋詰めされたものが「セルロースファイバー」として出荷されます。
▷関連コラム:セルロースファイバーは夏が暑いって本当?|特徴やメリット・デメリットも解説
セルロースファイバーがゴキブリやシロアリに効果的

セルロースファイバーはゴキブリやシロアリなどを寄せ付けにくい、防虫効果のある断熱材です。
しかし、新聞紙や段ボールはゴキブリなどの虫が好む素材のため、素材自体が持つ防虫効果ではありません。
セルロースファイバーがゴキブリやシロアリに効果的な理由をわかりやすく解説します。
防虫性能が高い理由
セルロースファイバーの防虫性能が高い理由は、薬剤処理にホウ酸を使っているからです。
ホウ酸は防腐・防虫性があり、ゴキブリやシロアリなど一部の害虫に対して高い致死率を有するため、大きな効果をもたらします。
ゴキブリなどがセルロースファイバーを食べた場合、活動が弱まり危険を察知するため、建物に住み着くことがありません。
ホウ酸とは
ホウ酸とは、弱い酸性の性質を持つ「無機化合物」です。
実際に手にする機会は少ないですが、防虫剤やゴキブリ駆除剤、目の洗浄剤など、身近な場所で使われています。
ホウ酸は揮発しにくく、効果が長く続きやすい特徴があるため、住宅の薬剤処理に用いられる素材のひとつです。
セルロースファイバーには、ホウ酸が約22%の割合で均一に配合されています。
ホウ酸が効果的な害虫
ホウ酸の影響を受けやすい害虫の一例をご紹介します。
- ・ゴキブリ
- ・シロアリ
- ・アリ
- ・ダンゴムシ
- ・ムカデ
これらの害虫が体内にホウ酸を取り入れると消化器系に作用し、摂食や活動が抑制されることが知られています。
ただし、効果の現れ方は摂取量や環境条件によって異なるため、防虫性は高いですが完全な効果を約束するものではありません。
茨城・石岡の"フォレストブレス"では、自然素材を使った家づくりをしています。
セルロースファイバーを採用した住宅もご提案できますので、お気軽にお問い合わせください。
ホウ酸がもたらす防虫性能以外の効果

ホウ酸は防虫効果以外にも様々な性能を持ちます。
防火性能
ホウ酸は、約1000°Cの炎でも表面が炭化して燃えにくいという性質を持ちます。
木材と同様に、表面が焼けても内部まで燃え広がりにくく、結果的に燃え広がるまでに時間がかかったり沈下したりするケースが多いです。
そのため、セルロースファイバーは防火性能の高い断熱材とされています。
セルロースファイバーは木質繊維が主原料で、燃えた際に有毒ガスの発生がないため、火災時の煙による被害リスクを抑えやすい点も大きな特徴です。
防カビ・防腐性能
ホウ酸は菌の成長を抑制する効果があるため、防カビ・防腐性能も高まります。
カビの胞子や菌糸の発育、腐朽菌の活動を弱めることが可能です。
セルロースファイバーを採用することで、断熱材や構造体のカビや腐朽を防ぎ、結果的に住宅の耐久性向上につながります。
揮発性が低い
ホウ酸は高い融点・沸点を持つため、住宅内の通常の温度ではほとんど溶けたり揮発したりしません。
そのため、防虫性・防火性・防カビ性などの効果が長時間持続しやすいのが特徴です。
また、ホウ酸は空気中にも広がりにくいため、室内にいる人やペットへの影響もほとんどないとされています。
セルロースファイバーに関するよくある質問

セルロースファイバーに関する質問について解説します。
セルロースファイバーのメリット・デメリットを知りたい
セルロースファイバーのメリット・デメリットをご紹介します。
・すき間なく施工しやすい
・環境に優しい自然素材である
・調湿性能が高い
・防虫・防カビ性能がある
・防火性が高い
セルロースファイバーは吹き込みによって施工するため、グラスウールなどと比べてすき間なく施工しやすい点が特徴です。
断熱材同士にすき間がないと建物の気密性が高まり、快適性や防音性も向上する効果があります。
また、セルロースファイバー自体が湿気を吸収・放出するため、室内の湿度を調整できるのも大きなメリットです。
・比較的価格が高い
・施工実績が豊富な会社が限られる
セルロースファイバーは断熱材の中でも価格帯が高く、すべての住宅会社で扱っているわけではありません。
オプションで採用できた場合でも、実績が少ないとより費用がかかったり施工品質が低かったりする可能性があるため注意が必要です。
詳しいメリット・デメリットについては、こちらのコラムをご覧ください。
▷関連コラム:【断熱材】セルロースファイバーを選んで後悔しない?メリット・デメリットを解説
ホウ酸の安全性が心配
セルロースファイバーには防腐・防虫・殺菌性があるホウ酸が含まれるため、住宅に使用して安全なのか不安になるという意見もあります。
確かに、ゴキブリやシロアリには効果がありますが、目薬や化粧品などにも使われる素材です。
そのため、人間や犬・猫などのペットには、適切な濃度や用途で使用すれば安全性に問題はありません。
セルロースファイバーにおいても、安全性に対する試験や評価が行われたうえで使用されているため、安心して住宅に取り入れることができます。
時間が経つとセルロースファイバーが沈下しないのか
セルロースファイバーは柔らかな素材のため、沈下を気にされる方もいます。
結論からお伝えすると、セルロースファイバーは施工の質が高ければ沈下する可能性は低い断熱材です。
十分な量のセルロースファイバーを適切な密度で吹き込むことができれば、壁内にほとんどすき間が生じず、沈み込みが起こりにくくなります。
そのため、施工実績が豊富で、確かな施工力を持つ会社に依頼することが重要なポイントです。
発泡ウレタンとの違いは何か
近年の住宅で採用されることが多い「発泡ウレタン」とセルロースファイバーの違いを解説します。
| セルロースファイバー | 発泡ウレタン | |
|---|---|---|
| 原料 | 新聞紙などの古紙 (自然素材) |
ウレタン樹脂 (化学素材) |
| 施工方法 | 吹き込み | 吹き付け |
| 断熱性 | 高い | 高い |
| 気密性 | 施工によって高められる | 素材自体が高気密 |
| 調湿性 | あり | なし |
| 防虫性 | あり | なし |
| 沈下の可能性 | 施工不良によって起こる可能性あり | ほとんどなし |
| 変形 | なし | 木材の伸縮の影響を受けやすい |
どちらも断熱性・気密性が高い断熱材と言えます。
発泡ウレタンはセルロースファイバーと比べて費用を抑えることができ、採用している住宅会社も多いです。
一方で、自然素材であるセルロースファイバーは安全性が高く、調湿効果があるなど断熱・気密以外の効果も期待できます。
そのため、より健康や快適性を重視したいご家庭に向いている断熱材です。
茨城・石岡の"フォレストブレス"では、自然素材を取り入れた住まいを手掛けております。
まずは資料請求を通じて、私たちの住まいづくりへのこだわりをご覧いただければ幸いです。
まとめ
セルロースファイバーは、古紙を利用しているため安全性が高く、環境に優しい断熱材です。
断熱性・気密性が高いのに加え、ホウ酸による薬剤処理が施されているため、ゴキブリやシロアリなどの害虫対策にも効果があります。
セルロースファイバーの性能を最大限発揮するために、施工実績が豊富で高品質な施工をしてくれる住宅会社を選びましょう。
私たち"フォレストブレス"は、1934年に製材所として創業して以来培った知識と経験を活かし、快適で健康的な暮らしが実現できる住まいをご提案しております。
住宅のプロとして木材にこだわった住宅を数多く手掛けていますので、お気軽にご相談ください。

